2023.02.16更新: おすすめの英会話教材(音声DLつき)のご紹介を追加。
(注: 本ページにはプロモーションが含まれています。)
日本で長年、問題となっている家族のひきこもり。
アメリカだけでなく、それ以外の国でも結構知られているようで、Hikikomoriという言葉がメディアでそのまま取り上げられていることも・・・。
アメリカ現地で、日本通の友人からも聞かれることが多かったこの問題は、できれば英語でも説明できるようにしておきたいですね。
本日は、その英語での表現の仕方と、同様の問題がアメリカにあるのか見ていきながら、両国の事情を調べてみたいと思います。
日本でのひきこもりとは
まず初めに、この“ひきこもり”って、どんな状態かをはっきりしていきましょう。
厚生労働省によると、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、「6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」を「ひきこもり」と呼んでいます。
「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じます。ひきこもりのいる世帯数は、日本では約32万世帯とされています。
割合でいうと0.67%で、全世帯数に対してだと1%にも満たないんですね。
日本での年齢別のひきこもりの割合
ただ、これを年齢別に見てみると、厚生労働省の調べでは、ここでは2018年の資料ではありますが、下記のようになります。
- 10歳代:1.6%
- 20歳代:19.4%
- 30歳代:41.2%
- 40歳代:24.1%
- 50歳代:1.9%
- 60歳代:0.3%
- 不明:11.5%
図表1-3-1 ひきこもり状態の者の年齢構成(家族会連合会の会員に対する調査)|平成30年版厚生労働白書-障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に-|厚生労働省
20歳代~40歳代が多く、30歳代はなんと40%以上も!
驚愕の数値ですね。私が思っていたより、日本のひきこもり問題はずっと深刻なんですね。
冒頭でもお話しましたが、私自身は、アメリカではあまり、ひきこもり問題については聞いたことがなく・・・。その事実認識が合っているのか、こちらも調べてみます。
Momokaよりお知らせ-日本のひきこもりも英語で説明できたらいいですね!下記の型破りな教材なら、英会話の壁をぶち壊せそう!
日本ではひきこもり-アメリカでは?
実はアメリカでは、日本の事情に詳しい人達は、ひきこもりを“hikikomori”として認識している人もいるのですが、現地で友人と話していたところ、ひきこもりを表現するのにwithdrawという”引く、引き下がる”を意味する単語を使っているようでした。
同じ友人に話したところによると、何らかの原因で社交や仕事などをせず、社会的にひきこもってしまう状態というのは、一時的にしろ、アメリカでも見られるということで、social withdraw (社会的にひきこもる)といった概念と相当の言い方は、アメリカでもちゃんと存在するんですね。
実はアメリカで増えているコレ?
ここでまた、過去のひきこもりについて、アメリカの資料でさかのぼって見ると、ひきこもりは、1978年、Yoshimi Kasaharaという日本人の研究者によって最初に紹介されました。
普通の人が極度の不安で家に閉じこもってしまった例について紹介されたのが始めでした。
その後もひき続き、ひきこもりについての研究や議論はされているそうなのですが、実は、ひきこもりがなぜ起こるのか、生物学的にも、社会的条件の側面からも、まだあまり解明には至っていないということなんですね。
ただ、日本でひきこもりをする人の中には、一つの仕事に就いて定年までそこに留まることを期待される、そんなサラリーマンの生活に適応できていない人がいるなど、そういった事は語られてきたようです。
また、当初は、ひきこもりが、こういった日本の環境や文化に起因するものであるという、“日本文化固有のもの”であると捉えられる事が多かったそうなのですが、その後、それを覆すようなケースが他国でも見られるようになっているということ・・・。
何とそれが、先進国アメリカをはじめとした国なんですね。
このように、アメリカなどの国でも、ひきこもった人が多数となると、ひきこもりが日本固有の問題とは言えなくなるわけで・・・。
さて、もう少しこの状況をよく知るために、アメリカのひきこもりを詳しく見てみましょう。
Momokaからのお知らせー皆さんも、ご自身の自己肯定感の低さに気づいたことありますか?私も読んだ下記の書籍によると、自己肯定感が低いと仕事や学校の成績、人間関係、生活の質にわたるまで影響されてしまうそうです。その根拠や詳細な説明、自己肯定感が良くなる成長の過程、結果まで読めるので、必読書です!。是非ぜひ!
自己肯定感が低い自分と上手につきあう処方箋 [ 大嶋信頼 ]
- 価格: 1320 円
- 楽天で詳細を見る
アメリカの現状
早速、その現状についてですが、資料によると、現在のアメリカでは20代前半の若い男性でひきこもりが顕著に見られ、現在、教育を受けていない・雇用されていない・訓練を受けていない状態(ニート状態)の人々が、多くいるという報告が専門家によってされているそう。
典型的な例では、そういった若者は、実家の地下の寝室(アメリカの家では、地下室に部屋がある所が多いです)に住み、毎日、ニートとして、アニメ、ネットサーフィンやビデオゲームで時間をつぶす生活をおくるのだそう。
また、こういった人たちは、強迫性人格障害や分裂病質人格障害などの病的な特徴を持つと診断される一方で、様々な他の尺度や調査では、“そのどちらでもない”、つまり“病気ではない”と診断されることもあるそうで、この点でもアメリカのひきこもりは、単一の疾患や障害として扱わない日本と共通しています。
アメリカで、若者の間でひきこもりが増えているという事の背景としては、大学卒業後、新卒として満足な賃金を稼げる正規の仕事につけない人が多く、その割合が12.6%という(2019年の資料を参照)統計が出ているということ。
もはや無視できない数字ですが、この点でも、正規の仕事に就けず、生活するにも油断が許さない状況で困難を極め、ひきこもってしまう日本の若者とも、やはり共通するところがあります。
また、アメリカでは更に困るのが、こういった新卒の(大卒で)人達って、学生ローン等、大学に行くために借りた負債を抱えている人が多く、2016年のデータでは、平均的な大卒者は約37,172ドルの負債を持つというから、更に問題が大きくなりますね。
資料にもありましたが、正規の仕事でないと払い終える見込みがない、そんな負債を抱えての時給$8のタコベル(ファーストフード)のパートの仕事では、絶望感も出てくるっていうものです。
こういった事情もあり、アメリカでは残念ながら、大学のために借りた学生ローンが払えず、破産申告する人が多いのは有名です。
アメリカでの人数と潜在数は
ここで、アメリカでひきこもりしている人について、その人数を見てみましょう。
ちょっと古い2015年のデータになってしまいますが、資料によると、アメリカには約1,000万人のニートがいると報告されているそうで、日本の冒頭のデータの約32万世帯を約32万人とみなして(1世帯にニートが1人と考える)比較すると、アメリカの方が比較にならないほど多いですよね。
何でも、hikikomoriとかいう名前が付いた、オンラインコミュニティもネット上に存在するそう。
更に心配されるのが、アメリカでは、若い男性の独身者達で、恋愛などで女性と親密な関係を持てないと嘆く、同じような人が集まるインターネットのサイトで、たむろしている人達が、推定70万人もいるとされるそうで、潜在的にはもっと多くの人がひきこもっていると見られていて、驚愕の事実・・・。
また、アメリカでは個人主義が発達しているので、早くに実家を出ている人が多く、精神的にひきこもって、そのままホームレスになってしまっている人もいそうと思います。なので、家へのひきこもりでなく、社会からのひきこもりからホームレスになっている人もいて、この人達は上の数字にも登ってきません。
『これじゃ、立派な社会問題では?』と思えてきますが、アメリカでも、やはり、このような極端なひきこもりが一世代続くと、将来、アメリカ経済に災いをもたらす可能性があると懸念されているそうで、こういった生産性のない若者をどうしたら助けられるかリサーチを行うなど、新しい取り組みもされているということなんですね。
ひきこもりは先進国固有の問題なの?
長くなりましたが、結局のところ、ひきこもりの原因というものは、まだはっきり特定されている訳ではなく、日本固有のものでもない。医学的にも、アメリカでも、ひきこもりは分類が難しいとされているそうで、結構難解な問題なんですね。
ただ、今回の参考資料では、アニメやコンピューターゲーム、ネットサーフィンを、娯楽や気晴らし、逃避にできるアメリカや日本などに代表される国では、ひきこもりは見られる事ですが、例えば、“モンゴルのような遊牧民が共同で生活している地域では、ひきこもりしてしまう人がいるとは考えにくい”と論じられていて、一種のテクノロジ-が発展した先進国固有のものではないかと、そこから紐解いては行けそうですね。
今回、ひきこもりは日本固有のものという思い込みのもと、色々調べてみましたが、出てきたのは驚愕の事実!
個人的には、アメリカ人って、自発的にちょっとした合間も話をして楽しんだり、社交が好きで、パーティーやおしゃべりに明け暮れる人達かな、という印象で、ひきこもっている人達がこんなにもいるなんて想像もつきませんでしたね。
でも、まあ、インターネットでの出会いが普通になってきているアメリカのミレニアル世代から考えると、少しは予想すべき事だったかもしれません。
一般的に、アメリカではパーティーで集うことが多いですし、男女間を含めた社交も盛ん。
そういった国で、普通に出先でおしゃべりして恋愛の相手を探すより、インターネットで探す人が増えてきているという時点で、少しはそういった傾向があると気づくのが自然な気がしますから・・・。(でも、マッチングサイトやSNSでの出会いは、普通に多くなってきているので、時代の流れかもしれませんね。)
最後になってしまいますが、今度、アメリカで、日本のひきこもりについて尋ねられたときには、是非こう教えてあげたいものですね。
Hikikomori(Social withdrawal)is a world-wide phenomenon(ひきこもりは世界的現象).
もしかしたら、アメリカでも知らない人がいて、感心されるかもしれません。
参照元:Intelligencer公式サイト
The World of American Hikikomori